親が勝手に建てた墓とは

親が勝手に建てた墓のイラスト

近年では後継者が家を継ぐという考えが無くなって、子孫のためにとの思いで残した家やお墓が子孫の者にとっては不要な物になりつつあります。

子孫繁栄の願い

農業や林業、漁業などに携わる方にとって子供は大切な後継ぎであり、繁忙期になると多くの人出が必要になりますので、家族総出で手伝いをするということが当たり前であり、皆が助け合うことで我が国の基本産業が守られ、戦後の貧しい時代から現代の豊かな時代を築いてきたのです。

家という単位は家業や家屋敷、土地などを守って次の世代につなげていく大切な絆であり、一つ屋根の下で親・子・孫と続いて豊かで幸せに暮らしていくことが誰もが願うことだったのです。

子孫繁栄は家としての幸せの証であり、誰もが願うこと、子供や孫に囲まれて歳を取っていくことは大いなる喜びだったのです。

子孫繁栄の証

お墓というものは先祖代々の死者が眠る場所であり、子孫の者がお参りし祭祀を行うと共に、やがては子孫の者もその墓に入っていく場所なのです。

お墓に多くの御先祖が眠り、子孫の者がお墓参りを続けることが子孫繁栄の証であり、子孫のために大きくて立派なお墓を残すことは子孫の者に対する思いやりの心なのです。

子孫が何時までも続きますように、そして子孫の者が生活に困らないように、仲良く暮らせるようにとの思いがお墓に込められているのです。

お墓がいつも綺麗に管理されていることはまさに子孫繁栄の証です。

家族制度の崩壊

現代の日本では人口の減少、少子高齢化、核家族化が加速度的に進行し、一つ屋根の下に大家族が暮らすようなことが大変に少なくなっています。

家族というものが夫婦だけの単位となり、子供や孫たちはそれぞれ自分の家を持つようになりますので、家やお墓が相続されるようなことが無くなってきているのです。

家は売却すればある程度の財産になりますが、お墓は負の財産となり、墓じまいや永代供養などで多額のお金が掛かってしまいます。

子孫繁栄を願って建てたお墓であっても、それが不要な子孫の者にとっては負の財産であり、面倒なことになっているのです。

今の時代「親が勝手に建てた墓だから私は関係ない」とまで言い切る人達が続出するのは、お墓という自分にとっては不要な負の財産を押し付けられたと思うからであり、親や先祖の恩など全く感じることなく、自分達だけの力で生きているのだから余計な物は要らないということなのです。

個人化の時代

これからの時代はアメリカをはじめとして徹底的に個人化が推し進められる時代になります。

自分が良ければそれで良い、人を助ける筋合いなど無い、助けて欲しかったら金を出せ、自分の身は自分で守る、このような時代の流れの中でお墓にしても後継者不要の樹木葬散骨へと移り変わっていくのです。